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金新芽長老の人生

障害者のために余生を捧げたい

韓国「タサラン」(豊かな愛)誌、1998秋号から
「人間勝利! 金新芽長老の人生」

やがてハンセン病という言葉もなくなる

いまや韓国のハンセン病に対する努力は結実を迎え、ある時は10万名にも至ったハンセン病患者たちが、いまや全て治療を受けて陰性となり、1992年、世界ハンセン病学会で、韓国のハンセン病はこれ以上発病せず終了したという報告がされるに至りました。
金新芽長老が若かった時、岩島にぶつかる小さな波濤を見て、ハンセン病との戦いを自分の人生の使命としたことが、いまや50年ぶりに克服されたのです。
「いまやハンセン病をなくしました。今、生きている私たちだけでも約220名くらいになるのですが、治療を受けた方たちが約450名にしかならないでしょう。その方たちが大概60〜70歳以上でしょう。ですから、私はいつもこう言っているのです。私たちのような文化財的な存在がなくなれば、ハンセン病という名前までも、この地からなくなるであろうと、そんな話をたくさんします。」

障害者のために余生を捧げたい

金新芽長老は75歳の年齢にもかかわらず、人生の第二の挑戦として、もう一つの目標を立てて挑戦しています。それは400万障害者の経た苦しみと痛みを克服する仕事です。
「本当に困難な方たち、その姿、いろいろな話を聞きながら、あぁ、私は今後、障害者のために、いまや私の残りの余生を捧げなければならないと思うのです。ですから、私の前に新しい岩島が、新たに現われたということでしょう。前の岩島は『ハンセン病』という岩だったのですが、今、私の目の前にある岩は『障害』ということです。障害、その岩に向かって、私は再び私の残りの人生を捧げたいのです。」
ハンセン病を克服して来たことのように、全てが愛をもって努力すれば障害者たちの困難も克服することができるだろうという確信を持ちながら、彼は今日も小さな波濤の姿のように、一粒の麦のように、自らがすることができるあらゆる努力を傾けています。それで、彼はこの頃、出版計画をして、夫人の手を借りて、第三の挑戦として随筆集と手記を書いています。その収入を障害者共同体に寄贈して行こうというのです。愛をもって、人のために自分が持てるものを惜しみなく与えようとするその姿の中に、多くの人々は感銘を受けています。
彼をよく知っているという忠南大学学生サークルで支援奉仕団を指導しているキム・クァンテ教授は次のように話しています。
「人生の真の勝利者、感謝と喜びが満ち溢れる少年のように、この方こそ、私たち人間が追い求めている幸福とは肉体の内にあるのではないということを、その応えとして悟らせてくださいました。金新芽長老はそのような生きた標本であると、私は思います。」
今後、残った人生を障害者たちと共に歩むという金新芽長老が呼ぶところの「草の葉の祈り」には、障害の克服を成し遂げようという心からの願いが込められています。金長老は今日も明け方の4時に起きて、国と民族、そして、祈りで助けることができる300名の人々のために祈りつつ、彼がすることができる執筆と讃美、証しと講演などで、障害者たちと共に歩むため、今日も一日が短く感じるくらいに熱心に生きています。

愛は朽ちることがない

金長老:「私は結婚してから夫人から食事や髭剃りなどの世話を受けているけれども、一日もかかすことなく30〜40年過ごしていますが、今日も私のスプーンにおかずを置いてくれながら、一度として不平をこぼしたことはありません。」
夫人:「神様を第一に敬い、第二に金新芽長老を愛します。」
金長老:「本当に二人は幸せです。」

この二人とほんの1分間でも対話をしてみれば、この方たちこそ本当に深い幸せをたたえた者として、その生きる姿から、彼らこそ人生の驚くべき秘密について悟ることができた証人なのだと思えるようになります。
席を立とうとした時、私たち一行の手をさっとつかんで、不自由な指でオルガンを弾きながら、「日本語で『サラン(愛)』という歌を贈り物として歌ってあげましょう」と言われました。私たち一行は金長老の伴奏に従って一緒に歌いました。

「♪愛は忍耐強い、愛は情け深い、ねたまない、愛は自慢せず、高ぶらない、礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない、不義を喜ばず、真実を喜ぶ。すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える。愛は決して滅びない。」

これは金新芽長老が日本から招請を受けた時に日本語で歌った「愛」という歌の歌詞です。自分よりも他人を尊いものと考え、愛して来た彼の生き方は、今日も世の人々の心の中に、彼の歌と共にこだましています。
ハンセン病の困難と苦痛に打ち勝ち、美しい愛の共同体の耕地を開拓した金新芽長老の話から、私たちは人間勝利の姿を発見することができます。どんな環境と逆境の中にあるとしても、自分の中に備えられているダイヤモンドのような尊い賜物を探し出して、それを磨き、光らせることが、本当の人生の意味ではないのでしょうか。自分だけの人生ではない、他の人たちの人生に勇気を与えながら、愛を実践して行く姿こそ、本当の新しい歴史を創造して行く源泉であると思います。
今日も愛の兄弟たちと共に生きて行く金新芽長老が生きる忠光農園には、日ごとに新しい朝日が昇っており、その絶え間ない挑戦と生命力は、今後も尊い人生のための礎として永遠に光り輝くことでしょう。

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[原典:韓国「「タサラン」誌、1998秋号、オ・ヨンギュン/著、菊池義弘/訳]


金新芽長老の人生
金新芽長老の人生(1) 金新芽長老を訪ねて
金新芽長老の人生(2) 小鹿島を訪問
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金新芽長老の人生(5) 障害者のために余生を捧げたい


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