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中国貴州省におけるハンセン病流行の現状
および予防・治療対策の研究

中国では40年以上にもわたる予防と治療により、多くの省や市においてハンセン病は基本的に撲滅されている。しかし、貴州、雲南、四川などの西部の省や自治区では、ハンセン病の流行状態がなお高レベルで続いており、中国のハンセン病撲滅政策に深刻な影響を及ぼすであろう。また、出稼ぎ労働者の増加にともない、ハンセン病患者および感染者が経済発達地域まで絶えず出かけることは、経済発展地域に新たな感染の脅威を与え、さらに低流行地域における低レベル感染状況を維持することも難しくなるであろう。したがって、ハンセン病流行地域の予防と治療の現状を研究し、新たに予防・治療対策を探ることは非常に重要である。

流行の現状

貴州省は、中国のハンセン病高流行地区の一つである。貴州省内では9つの地区・自治州・市と88の県(市、区)で様々なレベルでハンセン病が流行している。1995年より、省全体のハンセン病罹患率は約0.3/万人、発見率は約0.7/10万人、新患者の変形障害率は23〜30%の横這いとなっており、ともに明確な下降は認められない。このことから、貴州省のハンセン病は依然として深刻なレベルで流行していることがわかる。

2004年末までに、省全体で発見された累計患者数28,295例のうち、多菌型(MB)は19,451例、少菌型(PB)は8,844例。累計治癒数は19,290例(MBは13,099例、PBは6,191例)、死亡およびその他不明は7,980例。累計再発数は860例、そのうちダプソン(DDS)単剤療法による再発は828例、多剤併用療法(MDT)による再発は32例。現在症状のある患者は1,025例、罹患率は0.027%、発見率は0.54/10万人である。省全体の累計罹患率は、最高年度である1984年の5.5/万人から、2004年末の0.27/万人まで減少し、95.09%下降した。ハンセン病発生は効果的に抑制されている。

2004年末までに、省内36県(41.38%を占める)は、国のハンセン病基本的撲滅基準(罹患率≦0.01%、直近5年間の平均発見率≦0.5/10万人)に達し、35県は、基本的抑制基準(罹患率0.01〜0.05%)にある。16県は抑制されておらず(罹患率>0.05%)、うち3県(興義、普安、茘菠)の罹患率はなお1/万人を超えている。

 現在、全国の15省が部または省レベルの審査や検査に合格しており、全国の90%以上の県(市)はハンセン病基本的撲滅基準に達している。それに村して、今のところ貴州省では27県が省レベルの専門家グループ検査に合格しているのみである(ただし、そのうち11県が基準を上回っている)、60%近くの県がまだ基準に達しておらず、全国と比べると明かに格差がある。

貴州省のハンセン病流行レベルの高い7県において、1999年より相次いで実施した「ハンセン病制圧キヤンペーン」(LEC)の結果を分析し、新患者の発見の強化により短期間内に多くのハンセン病患者を発見できることが分かった。LEC実施の2〜3カ月以内で、その7県で発見された新患者数は、過去3年間の平均発見数の2倍を上回った。しかし、罹患期間が比較的長いこと(平均3〜4年)、変形障害率が比較的高いこと(平均35%以上)から、省内には、ハンセン病患者の早期・適時の発見ができない県があり、ハンセン病の流行が依然として深刻な状態であるということが分かる。LEC実施後の2年間に発見された新患者のうち、半数近い患者の罹患期間が2年を超えているということは、LECの実施は新患者の発見率の向上には有効であるが、繰り返し実施しなくてはならないことを示している。

ハンセン病の特徴として、感染しやすい、発病しにくい、潜伏期間が長い、新患者の発見が難しい、変形障害の発生率が高いということがある。このことから、ハンセン病の予防・治療は長期間にわたり極めて困難で複雑であることを充分に認識する必要がある。総合的な予防・治療方法を用いてこそ、ハンセン病の流行を抑制するのに効果があり、最終的にハンセン病を撲滅することができる。

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[著者:牟鴻江、柯偉、包夏、王穎(貴州省疾病予防コントロールセンター エイズ・性病・皮膚病予防治療研究所)、原典:日中医学(財団法人日中医学協会、2005年5月発行)、2008年12月30日]

※この記事は、日中医学協会の許諾を得て転載したものです。
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