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韓国における定着村事業の歩み


募金運動
保健社会部は、このような計画を実施するにおいて必要な資金の調達のために、その年の5月1日から大韓癩協会と共同で、1億ウォンを目標にして募金運動を始めた。この募金運動は主に接客業者らを対象に実施したので、寄付金募金禁止法に背反する事項もあったが、この件については既に内務部と協議して許可を得ておいた。また、保健社会部は年内に5000名を定着させる事業を実施するために、大韓痴協会に8200万ウォンの補助金を支給した。そして、このような計画が組織的に行なわれた事によって、全国の民間施般に収容中であった完治に近い陰性癩患者たちは、現地に定着して集団生活をするようになり、残りの癩患者たちも小鹿島など5つの国立病院へ移された。
イ・ビョンハク氏は、この時の事を次のように語った。
「事実、この時の定着場事業は、実に切実なものでした。癩患者たちは病気が全て治癒していても、その痕跡が残るために患者と同じ扱いを受けるために、そのほとんどが私設集団部落に残り、他からの援助を受けなければならなかった。また、このような手助けは患者の能力を低下させ怠惰にさせるものなので、稼動能力者や治癒患者が生の機能を十分に発挿できるようにしてあげる事が社会が行なう仕事だった。幸いにして政府から、この事業を積極的に支援してもらったために、一部患者たちの反発もあるにはあったけれど、大体においてスムーズに行なわれた。また、1962年に実施した募金運動においても、各通が責任を持って行なったために、ほとんど100パーセントの募金達成が可能だった。再建当時、10余万ウォンの借金を負っていた協会が、1年後には5、6000万ウォンの事業基金を備えられるようになったんだから。」
このように癩協会が円滑に動く事ができたのは、その当時、長官だったチョン・ヒソプ氏が強力な行政カによって裏から支えていたためであった。

慢性病患者の登録
一方、保健社会部は癩協会の定着事業を助けるとともに、慢性患者たちを登録させて、もっと徹底して管理する方針を立て、癩患者5万名と結核患者10万名を登録させる計画を作った。そして、1962年7月4日、ソウル市を始めとした各市・道の実務者会議を収拾し、新しい計画に対する登録と手続き、及び趣旨を説明した。
まず、その方法を見ると、全国各地で直接に癩患者を受け持つようになる公医診療所、保健所、市道立病院、大学病院などを相互に連結する保健網を作り、これに従事する医師、看護員、約2000名を各道単位で二日間訓練するというものであった。チョン・ヒソプ保健社会部長官は、7月4日の会議における指示文を通して、「これは結核・癩患者が正式登録されている保健所でだけ行なえるものであり、患者の居住地に登録をするのならば居住地の移動に従って登録事務も移動される。」と述べた。また、結核患者は専門医によって診断されなければならず、喀痰検査、X線検査は必修であり、その他、精密検査も実施するようにした。
この指示文は、登録、治療、相互協力、教育、指導啓蒙など5つの項目に分かれており、専門医がいない公医、及び保健所は、近隣の専門医と私設を持った機関の協力を受けられるようにし、その機関は最大の協力をしなければならないとされており、また、患者に対する投薬は、各保健所で公医を通すのならば、近距離の患者に対して直接投薬しても差し支えないという内容だった。そして、患者を治療する全ての機関は、患者の治療経過に関して、管轄の保健所へ3ヵ月ごとに毎回定期的に通報しなければならず、投薬は少なくとも1年間は続けて行ない、患者は定期的な診断と保健看護員、及び結核要員の家庭訪問を通して必ず確認するようにした。また、全ての医療機関がこの事業に添って、正常な管理と適切で合理的な方法を通して、患者が自宅で自由に治療を受けられるように、全国的に指導啓蒙を行なった。
この年の11月、保健社会部は韓国の癩患者数を10万名と推計した。これらの中で収容治療を受けている患者数は、全体の2割程度である21059名であり、その内の8700名は5つの国立病院に、また、2359名は56個の私立療養院で治療を受けている。一方、この内の1万余名は、既に解放以前から収容治療を受けて来ており、五・一六軍事クーデター以後、癩患者たちに実施した細菌検査では、65パーセントが自活する事ができる陰性患者である事が明らかにされた。
ここで保健社会部が1961年に定着事業を実施した後に当面した救癩事業の重点は、癩患者の自活事業をさらに深めて定着事業として継続して行なうという事であり、1962年11月までに総じて4500名を私立機関に定着させ、5つの国立療病院に320名を定着させた。

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[原典:「福祉」(大韓癩管理協会発行、1974年11月から1976年12月まで連載)、日本語原典:「灯の村」菊池義弘/訳・編]
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