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ニュース ハンセン病 イベント&ワークキャンプ 茂木新聞社

2002年中国ワークキャンプ(リンホウ村)開催にあたって

このキャンプは、FIWC関東委員会にとって、韓国、フィリピンに続く第三国でのキャンプ開催になります。

このリンホウ園は、便宜的にいうとハンセン病快復者の療養所です。近年、経済発展が目覚しい中国ですが、この村の生活状況は極めて厳しいものがあります。その厳しさの原因には、そこがハンセン病の療養所であるという理由が、紛れもなくあります。けれどもキャンプを開催するにあたって、その「ハンセン病の療養所」という事実をとりあえずカッコに入れたいと思います。この中国のキャンプも「不便な生活を強いられた人々の状況を何とかしよう!」といった動機から始まる、バングラやネパールでのキャンプと同じものからスタートしたいと思います。

9月に下見としてリンホウ園を訪れ、幾人かの在園者と通訳を介して話をしました。
「何が必要ですか?」
お決まりの愚問を言う私たちに、在園者は苦笑いしながらこたえました。
「何が必要って、いっぱいありすぎて思いつかんがな。」
トイレがない。フロがない。雨漏りがする。体が不自由なので料理したり、水をくんだりするのを手伝ってくれる人がいると助かる。
苦笑いのあと、彼らはそう私たちに言いました。

このキャンプはそこからはじめたいと思います。
「不便で困っている。」
そうこぼす人に対して、自分たちにできそうなことがある。
「ほな、やりましょう! 一緒に寝泊りして、一緒にうまいメシでも食べて、ご飯食べたら、酒でも飲んで、あなたはあなたの好きな歌を歌い、私は私の好きな歌を歌い、そんなことをしながら、いっしょに何かやりましょう!」
このキャンプがそんなキャンプになればいいと思います。

私たちの前にいる人たちが「らい」という病を病んで、社会から排除された人たちだということは、とりあえず考えないようにしたいと思います。意識的に考えないようにするのではなく、そんなことはまずはどうでもいいこととして、片隅に片付けたいと思います。

このキャンプは、らい者とそれに救いの手を差しのべる者たちとの関係からなる活動ではなく、
「わしら、ちょっと困っとるんやけど、なんとかならんかな?」
「ほな、手伝いまっせ。どうせわしもヒマやし」
そんなありふれたやりとりのすえに、なりゆきでやってしまう活動、そんな活動になればと思っています。

私たちと一緒にキャンプをする人たち。ハンセン病快復者、ハンセン病快復患者。ずっと、いわれのない差別を受けてきた人たち。呼ぼうと思えば、いろんな言葉があります。
私たちがやろうとしているキャンプ。ハンセン病啓発活動、ハンセン病者生活改善活動、貧困撲滅活動。人権回復草の根活動。呼ぼうと思えば、いろんな言葉があります。

大儀名文は隅にどけとこうと思います。「社会的に意味あることをしてる」という魅力ある気分には惑わされないところに避難します。
「国が! 社会が! 世間が! まっ、マチガッテいるのだぁーぁーぁぁー!!」
「正義感」という心地よい「酔い」にも遠ざかりたいと思います。「正義感」という危険で暴力的なドラッグではなく、薄くてぬるいチンタオビールに酔うキャンプでありたいと思います。

彼らは「ハンセン病快復者」である前に、名前のある一個の人間です。ハンセン病という病気は、その人間がもっていた一つの過去の付随物です。そんな過去の付随物に振り回されるキャンプではなく、その本体である人間が主役となるキャンプでありたいと思います。彼らの傍らで一緒に生活することを通じて、園に住む14人の人たちの具体的な顔が見え、名前が見え、性格が見え、好みが見え、個性が見えてくる。そして在園者にも、私たち一人一人の顔や性格、好み、個性が見えてくる。そこからごくフツーのありふれた関係が生まれてくる。このキャンプはそんな場でありたいと思います。

さて、このキャンプはいつもより長期的なプロジェクトになりそうです。11月から来年の夏くらいにかけて、下記の要領でキャンプを開催する予定です。現在、11月のキャンプの参加者を募集しています。参加費は15万円程度。日数は10日程度を予定しています。それ以降のキャンプは今後随時、募集しますのでお問い合わせください。
[2002年10月 フレンズ国際労働キャンプ(FIWC)関東委員会委員長 西尾雄志]

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