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宇宙世界通信 第14号 1997.7.15発行



目次



耶馬渓特集#2

宮田武宏

松田浩江

山中理恵子

西村麻里

宇宙世界通信 第14号

ありがたさ           宮田 武宏

 耶馬渓から帰ってきた。明日から日常が始まる。ワクワクしている。
唄を書こう。どんな唄を書こうかな?
今年もくろうちをした。去年よりやった量は少なかったが、去年より豆がたくさんできた。鍬を田んぼに振り下ろすとき、土をおこす時、とてもうれしい。カニが土の中にいた。冬眠中でしたか?ミミズをぶっちぎってしまった。ごめんなさい。
鶏をしめた。僕の手の中でもがいていた鶏は、だんだんと動かなくなった。ついさっきまで生きていた鶏のあたたかさを感じながら包丁を入れていると、「ありがたいなぁ」と思った。一人では生きていけない。一人で生きていくっていうのは錯覚だろう。いろんなものに支えられている。
耶馬渓には「生」がある。生き物だけじゃなくて、山の大きさ、川のせせらぎ、水を含んだ土の重みもだ。それは都会にはない何か。でも、それはただの田舎なのではなく、耶馬渓であり、明日庄の人々なのだ。集まってきたキャンパーもおもしろい人ばかりだ。
僕はそんな中で何日か過ごさしてもらう。何かを求めて耶馬渓に帰るわけではないが、家に帰るときはいつも元気になっている。本当にありがたい。なによりも楽しい。自分の「生」を実感するときだ。
僕は生きていく。これからもいろんなことがあるだろう。だけど、どんなにどん底に落ちたって、必ず這いあがる。人生の終わりにも「将来はますます有望だ!!」と思っているだろう。そして”人”の中で生きていきたい。いつも話を聴いてもらってばかりだから、人の話を聴ける人になりたい。素直に生きていこう。一歩ずつ、一歩ずつ。歩き続けていこう。またあいましょう。

宇宙世界通信 第14号

耶馬渓感想文           松田 浩江

 今回はくろうち、草刈り、耕運機を使って耕すことをさせてもらった。それぞれほんのちょっとずつやっただけだったけれど、どんな小さくても挑戦する楽しさ知る、カンタンな様でムツカシイことを知る、やっぱり忘れてはいけませんね。日常ではどうしても遠くなってしまう。
今、私は老人と接する仕事をしているけれど、その中に農業に関わっていた人が多くおられる。帰ってきてその人たちと少しでも自分の実感にもとづいて話しができることの嬉しいこと、嬉しいこと。なんだか近づけた様な気がするからか、誇らしげなその人の顔を見るからか、胸がいっぱいになる。
「この仕事なら、仕事としてというよりも、もっと自分らしく生きていける」と考えて今がある。けれど、無意識のうちに(これが一番コワイ)心は病んでいき、体も不健康になる(独居ゆえの無関心さ?もあろうが)。帰ってきてからは麻の目覚めもいいし、心は軽いし。汗を流す、自然と語る、皆を語る。そのことがとても心地よいと感じられること自体、日常生活が満たされていなかった証拠のような気がしている。「仕事」に対してそういう姿勢でいても、ね。
今回またもやいろんなことを考えさせてくれた明日庄の皆さん、キャンパーの皆さん、耶馬渓の自然に感謝してます。また、参加させてください。

宇宙世界通信 第14号

耶馬渓感想文           山中 理恵子

 5月三連休の耶馬渓キャンプは、久しぶりに会えた人、新しくで会えた人々の中で、色々な刺激を与えてもらい、心身ともによい充電をさせてもらいました。
私は正確にはFIWCのメンバーとは言えないと思うのですが、神戸キャンプに続き、2度目のキャンプに参加させてもらって、ものすごく思うのが、素敵な人たちに知り合える喜びというか、幸せみたいなものです。
今思い返してみても、あの三日間、あの場所でキャンパーの皆と過ごしたのは、その限定された期間だけが、他の日々よりも重く感じられるような、かなり濃密な時間だったように感じます。いつも繰り返している日常とは、場所も過ごし方も回りにいる仲間たちも全然違っていて、そういう意味でもとても新鮮な体験でした。
でも、こんな風に思えるのも、いつも繰り返しているあまり変わり映えのしない日常があるからこそなんだなぁということに気がつきました。
この耶馬渓キャンプを終えて、新鮮さを取り戻した私が帰ったのはキャンプに参加する前と変わらない日々でした。就職して2年目。まだまだ上手くできないことの方が多いし、そんな自分や助けてくれない周りの人にイライラし、落ち込むこともある。疲れてしまってプライベートな時間を十分に楽しむことができない。そんな日々の中にまた帰ってきたのだけれど、今回の耶馬渓キャンプを経験できたから、そんなに辛いというような気持ちにはなりません。あの時の皆も頑張ってるんだろうなぁとか、こてからまた心新たに頑張ろうとか、前向きな気持ちを持つことができています。皆さんに精神的な栄養をたくさん与えてもらったからです。本当に様々な話をしたり、寝食を共に過ごしたことで、在り来たりの表現ですが、皆それぞれ色んな思いを抱えながら精一杯やってるんだなということが分かったし、自分も負けられないと思います。
あの時のことを思い出すと元気になれるという体験を持っている私は、幸せなんだと思います。皆さんが、それぞれ生活されている場所で元気に活躍されていることを想像しつつ、耶馬渓キャンプの感想を終わります。

宇宙世界通信 第14号

耶馬渓camp           西村 麻里

 不思議なcampだった。一年前、初めてcampで耶馬渓に行った。その時は見る物全てが新鮮で感動だった。一年目である97年G.W.campは、不思議な感じだった。去年より少し慣れた手つきで作業できた。でも、不思議だと感じたものは何なのだろう。
温かいcampだった。皆、一生懸命生きていることが分かった。一年前は、つらいことを押し隠し、楽しいパワーに変え、ワークした熱いcampだった。でも今回は、色々な思いがするすると言葉となってこぼれ出た。何故かホッとした。優しくて温かい人たちに囲まれていた。
色々な人達が、色々な思いを口にした。それを聞きながら生きていると感じた。つらいことや悲しいことがあっても、それを体全体で受けとめながら、笑ったり、歌ったりしている姿を見て、人の強さを感じた。それは、ひらめきというよりは、私の心にじんわりとしみ込むような調子の発見だった。
初めて耶馬渓を訪れてから一年。私は知らないうちにとても大切なものを手にしていたことに気付いた。それは”友人”と表現されるのかどうか。
ふっと気付いたら、自分の正直な気持ちを伝えられる人達が周りにたくさんいた。そのことを知った時、とても驚いた。そして、それはとても心地の良いことだった。フワッと温かくなる感じ。
一生懸命ワークして、歌って、ごはん食べ、語る。とても単純なことで、人と人がつながっていく。それは、とても不思議な感じのする喜びだ。
また、行きたい。また、会いたい。


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