宇宙世界通信 第11号 1996.12.10発行
目次
全生園のこと
韓国キャンプの感想文について
1996年活動の総括
壁の向うに
宇宙世界通信 第11号
全生園のこと
9月28日(土)「ハンセン病を生きて」(主催レラ・チセ)の講演が早稲田キリスト教会館であり、聞きに行った。
入園者である国本 衛さん(在日韓国・朝鮮人、ハンセン病元患者)と森元 美代治さん(多磨全生園入園者自治会長)の「らい予防法」の廃止を闘いとってきたまでの話しを聞けた。
10月27日(日)数名誘って森元さんに会った。丁度その日、お客様が見えると聞いていたが、FIWC関西の青山さん・他だった。一緒に資料館を案内してもらい、時間の都合から全生園の自治会で少しお話を伺うことで終わった。
今回、全生園を訪ねて、”らい病”が世間で目のかたきにされていた頃に、FIWC関東がボランティアとして関わっていた(かえって入園者が戸惑っていたそう)ことを知った。また、資料館には少しばかりだが、FIWC関係の資料が置かれていた。
お知らせ
森元 美代治さんがハンセン病について語ります。
# 11月5日(火)1時 NHK第一ラジオ
# 11月27日(水)13時55分 「徹子の部屋」テレビ朝日
# 本;「証言・日本人の過ち」 人間と歴史社(2200円)
レ・ラ・チセ(アイヌ料理屋)では毎月第三土曜日にアジア植民地化の問題を話し合う”レ・ラ・チセ講座”を行っているそうです。興味のある方は行ってみては?
場所:東京都新宿区西早稲田2-1-19YKビルB1
Tel: 03-3202-7642
宇宙世界通信 第11号
みなさん韓国キャンプの感想文をはやく送りましょう
韓国キャンプ(夏)の感想文の集まりが非常に悪いらしい。毎年のことだが、今年は特に集まりが悪いらしい。
定例会報告・トンチョクサラムなどは、FIWCがかかっている活動の報告を簡潔に伝えている。毎月の報告はFIWCの活動が活発であることを示している。よろこばしい限りである。
しかし、一つだけ不満を言えば、参加者の(リーダーをしている人のではなく参加している人の)顔が見えない。それと、FIWCのメンバーの中に時折見られる特殊なもののとらえ方を見つけることが少ない。
特に後者の考え方(異端をよしとする、少数意見を尊ぶ)はFIWCの中で次第に隅に追いやられつつある。顔が見えないやり方をよしとしているというよりは、顔を見せずに事実だけを残せという真面目さと息苦しさが支配しているようだ。
その情勢の中で韓国ワークキャンプはFIWCの中ですら異端になりつつある,爆発的な面白さとエネルギーを秘めている。それが縄文人の文化に近づくものであることが梅原猛/中上健次著「君は弥生人か縄文人か」梅原日本学講義一を読んではっきりと判った。
だから、韓国キャンプは異端は異端なりに、極端まで自己(或いは文化)を推しすすめてもらってよい。幸い、今それができる条件下にある。弥生式土器のような簡便で使いやすい文集を作る必要はないのだ。縄文式でよい。ごてごてと縄目紋様や世界のさまざまな神話的意味を盛り込む必要がある。
例えばアイヌ民話はほとんど、神話のようにおれには思える。子供の頃から感じていたが、そういう民話の物語性の中にこそ現代文明が連れてきた排他性や利益誘導型社会(=弱肉強食を効率化している)を救うことのできる無意識の鍵があるように思える。
ワークキャンプがそうなのかどうかは判らないが、おれ自身が活動について考えるとき、常にそういう意識の変革の萌芽というものを含んでいる気がする。それが時に神戸キャンプなどで夜を徹して語られた(何のために明日に差し支える議論をするのかという評価もあった)「運動のテーマの追求」である。
モモの「時間泥棒」の話ではないが、時短のことよりも、時間をかけて考えることを好む人々とおれは話し、活動を共有したい。それがFIWCの考えに沿うかどうか、今日本ではばをきかせている人らの意に沿うかどうかを、幸い今は考えずにすむ。
おれが興味あることが何だか判りますか?判った人も判らない人も、早めに感想文を宮田武宏のところまで送ってください。(田中宇宙)
宇宙世界通信 第11号
1996年活動の総括
1〜3月 神戸・春キャンプ (リーダー・西村 麻理)
仮設住宅の方たちへの足湯を中心とした「やわらかなワークキャンプ」がキャンプ期間にして1ヶ月あまり続いた。その後、加納くんが始めた移動八百屋が仮設を中心に展開するなど、新しい動きが見られる。作業所などへの個人的な関わりも。
4、5月 耶馬渓☆田植えキャンプ(田中 宇宙)
韓国キャンプのオリエンテーションとして考えられ、実際に農繁期の明日庄の少しの助けにもなれた。不定例会派/東京委員会(未認可)の発足の母体ともなった。
(他)八王子・清瀬福祉まつり参加。
6、7月 八王子平和の家・週末キャンプ(原田 健一)
知的障害を持つ人の施設・平和の家でのキャンプ(コンサートも)を行う。これからも継続してやっていく。
8月 韓国ワークキャンプ(関西・宮田 武宏/関東・江口 善明)
韓国のハンセン病定着村ソンシム農場とソンジン農場でワークキャンプを行う。年間を通して最も大きなキャンプで、ソンシムではセメントによる道路づくり、ソンジンでは広い範囲の草刈りを中心に行われた。関西は忠南大学の助らい会、関東は韓国外大のハナヘと合同で行っている。関西も関東も助らい会もハナヘも問わず参加してくる人がいるミョンジン園キャンプ(8月中旬・藤岡 羊子)は小さなキャンプだが活気がある。
(他)耶馬渓夏キャンプなど。
9ー11月 らい予防法廃止記念フォーラム(青山 哲也)
らい予防法廃止にともない、それを祝うと共にマジで共生の道を探してゆく。11月30日のフォーラム当日に至るまでの経過は、キャンプというより一大プロジェクトの観があった。豪華な顔ぶれのパネリストの方々をはじめ多数のFIWC・OBの方々の助力を得たことは大きな力となった。
(他)このフォーラムのきっかけとなった8月の愛生園夏祭り、フォーラムに触発されて11月から始まった全生園資料整理の手伝い/勉強会も話題である。
9、10月 千葉農業F・C、山形・高畠、耶馬渓ーー稲刈りキャンプ(浜島 恭子 他)稲刈りの手伝いをする援農キャンプ。農業よりの活動を推奨する不定例会派にとって、収穫は大きな喜びである。耶馬渓・明日庄は稲刈りを終わらすが、夏にかかった鶏小屋づくりはやれなかった。
(他)千葉・千倉で竹取キャンプ。
11月 フィリピン・キャンプ(西尾 雄志)
フィリピン・ダグーパン市での4週間のロング・キャンプ。井戸掘りを中心に行われた。参加者多数。春にもう一度キャンプが計画されている(タラ村など)。
12月 年末キャンプ(戸張 岳陽)では、これらの活動の振り返りが話されることであろう。リーダーの方々は用意を願います。(奈良・交流の家にて)(文責・宇宙)
宇宙世界通信 第11号
壁の向うに
先生あの壁の向うに
何があるんだろう
あるんだろう
ちっとも変わらんのに
ここは違う国か
ちっとも変わらんのに
先生あの壁の向うではしゃぐ声がする
声がする
ちっとも変わらんのに
誰がつくった国か
ちっとも変わらんのに
壁の穴がみえる真青な空と
僕の上にある真青な空と
どこがちがう
先生あの壁の向うに
何があるんだろう
あるんだろう
先生あの壁の向うに
何があるんだろう
あるんだろう
何があるんだろう
あるんだろう
映画「あつい壁」より