国が「らい予防法」(1996年廃止)によって患者を国立ハンセン病療養所へ強制隔離した政策は基本的人権の侵害であり、元患者・療養所入所者は被害を被ったとして、国の過失を求め損害賠償を請求する裁判。3つの裁判所へ同様の提訴が行なわれた。熊本地裁へ提訴された裁判に判決が下り、5月26日原告勝訴が確定した。提訴は以下の順、
1998年7月 熊本、鹿児島の療養所入所者13人が熊本地裁に提訴
1999年3月 東京地裁に21人が提訴
1999年9月 岡山地裁に11人が提訴
2001年1月 熊本地裁で4次提訴までの127人分が結審
2001年4月 ハンセン病問題の最終解決を目指す超党派国会議員の懇談会が発足
2001年5月 熊本地裁で全国初の判決。原告勝訴
この裁判の「らい予防法人権侵害謝罪・国家賠償請求訴訟」の請求の内容は、
・新聞紙上への謝罪文の掲載。
・テレビ・ラジオの政府広報番組で謝罪文を 読み上げること。
・原告1人につき1億1500万円の損害賠償金 を支払うこと。
つまり国家の違法行為・過失を明確にし、患者・元患者の名誉回復と損害賠償を求めることを目的とした訴訟である。
また去る4月8日には、全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)の全国支部長会議において、国賠訴訟への支持が全会一致で決議された。
1873年 | ハンセン(ノルウェー)がらい菌を発見 | |
1907年 | 法律「癩(らい)予防ニ関スル件」制定 | |
1909年 | 熊本県などに公立療養所開設 | |
1931年 | 癩予防法(旧法)制定。隔離対象が全患者に拡大 | |
1947年 | 憲法施行。新薬プロミンによる治験開始 | |
1953年 | 患者らの法改正要求に反し、らい予防法(新法)制定 | |
1960年 | 世界保健機関が外来治療の方向性を勧告 | |
1981年 | 世界保健機関が多剤併用療法を提唱 | |
1995年 | 4月22日 | 日本らい学会(現・日本ハンセン病学会)が法廃止に関する決議 |
1996年 | 4月1日 | らい予防法廃止 |
1998年 | 7月31日 | 熊本地裁に13人が提訴 |
1999年 | 3月26日 | 東京地裁に21人が提訴 |
8月27日 | 元厚生省医務局長が熊本地裁で、「らい予防法は誤りだった」と証言 | |
9月12日 | 岡山地裁に11人が提訴 | |
2001年 | 1月12日 | 西日本訴訟第1陣の結審 |
4月5日 | 超党派の国会議員が原告を支援する懇談会を発足 | |
4月14日 | 3地裁の原告が統一原告団を結成 | |
5月11日 | 西日本訴訟第1陣が全面勝訴 |
[2001年5月28日]