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日本でのハンセン病(らい病)問題

ハンセン病は、かつて”らい”、”らい病”と呼ばれ、偏見に基づいた差別によって、患者やその快復者たちを苦しめてきました。ハンセン病は体の末梢神経がまひしたり、筋肉が弛緩したり髪の毛が抜けたり、というのが特徴です。迷信と因習がつくった「遺伝病」という、らいへの偏見に人々は苦しめられました。

しかし、ノルウェーの医師ハンセンが、1873年に病原菌を発見したことにより、この病気に長い間はられていた「遺伝病」のレッテルがはがされ、感染症の病気であることが明らかになりました。

日本では、1930年頃から警察力まで動員し、患者たちを強制的に隔離していきました。人々の社会内偏見をあおりながら強制隔離が正当化されていったのです。戦後、新憲法が制定され、1953年にらい予防法が改定されましたが、強制隔離、強制消毒、外出禁止の条文はそのまま継続されたのです。(すでに、医学的な根拠を失っていたのに)、国際的にはハンセン病患者の隔離は否定され、欧米では通院治療があたりまえでした。

ハンセン病は、確かに感染性の伝染病ですが、菌の病原性(病気を引き起こす力)は微弱で、日本では実際に発病する人は、1年に数名です。成人間の感染はほとんどありません。しかも、もし感染してもハンセン病を発病する人はもっと確率が少ないのです。日常的に患者と接している医師や看護婦に発病例がないことからも、その伝染性、病原性の弱さは明らかです。現在ではハンセン病は、科学治療法による通院で治る「可治」の病となりました。

前述したらい予防法は、1996年3月27日衆議院本会議において「らい予防法廃止に関する法律案」が可決され、ついに廃止が決まりました。同年4月1日、上記の法案は制定され、ハンセン病療養所のすべての入所者が、医療、福祉、生活に対する施策を、これからも対象者の存在する限り、維持・継続していくこと、社会生活を送っている在宅患者にとっても従来どおり国の費用による援護がなされることなとを規定しています。

しかし、法律の廃止によりハンセン病療養所の入所者も国民健康保険に加入できるようになったにもかかわらず、その問題が未解決のままであり、また、療養所入所者の高齢化に伴い、病気の後遺症に加えて老人性の病気もでてきていますが、療養所の医療機関で対応できない場合どうするか、地域の医療機関にかかりたいときのきめこまかい医療提供は受けられるのかなど、在宅で治療を受ける場合も含めた医療保険の問題があります。そして、強制隔離の規定もなくなりましたが、法律廃止後、社会復帰した人がほとんどいない事実があります。社会復帰への支援も含め、これからの課題は山積みです。

ハンセン病は…

(以下、藤楓だより平成8年度(藤楓協会発行)より転載)

遺伝病ではありません。
伝染力の極めて弱い病原菌による慢性の感染症です。
乳幼児のときの感染以外はほとんど発病の危険性はありません。
菌は治療により、数日で伝染性を失い、軽快した患者と接触しても感染することはありません。
不治の病気ではなく、結核と同じように治癒する病気です。
治癒したあとに残る変化は単なる後遺症にすぎません。
早期発見と適切な治療が患者にとっても公衆衛生上からも重要です。

[1996年]

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