写真:太田順一
藤本としは1901年(明治34年)、東京・芝琴平町に生まれた。
子供の頃は芝居好きの母親に連れられ、よく歌舞伎を観に行ったという。
縁談がととのった18才の時、当時不治の業病といわれたハンセン病を発病。さらに20才で父を、23才で母を相次いで亡くす。絶望のあまり24才の時には自殺を図るが死にきれず、以後療養所を転々とする間に手足は麻痺し、47才の時には失明。
まるで作られた物語のように苦難に満ちた生涯。しかし、としの精神は決して悲劇の中のみにとどまらない。
不自由な体をおして書き上げられたエッセイ集「地面の底がぬけたんです」(思想の科学社刊)は、我々を暗闇の中で導くランプのような深い示唆を含んでいる。笑いを忘れず、病友に慕われたとしの人柄そのままに、たおやかで透明なことばのひとつひとつは、時代を超えてなお色褪せぬ強い輝きを放っている。
「光なんてものは、どこかにあるものじゃありませんねえ。なにがどんなにつらかろうと、それをきっちりひきうけて、こちらから出かけて行かなきゃいけません。光ってものをさがすんじゃない、自分が光になろうとすることなんです。」
としは1987年(昭和62年)、岡山県の邑久光明園でその生涯を終えた。86才だった。
日時 | 2002年5月31日(金)18:30開場、19:00開演 |
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会場 | 新宿文化センター小ホール 地図 |
出演 | 結 純子 |
原作 | 藤本とし「地面の底がぬけたんです」 |
スタッフ | 企画・制作:木村聖哉、麻生芳伸、音響:久保田夏子、照明:木堂尚員 |
主催 | フレンズ国際労働キャンプ関東委員会 |
観劇料 | 一般2,000円、学生1,800円 当日一般2500円、当日学生2,300円 |
お申し込み | 終了いたしました。 |
1901年東京生まれ。18歳の時にハンセン病を発病。その後、手足が麻痺し、失明する。身体の不自由にもかかわらず、点字を習い、文章を書き、笑いを忘れず仲間に慕われる。1987年、岡山県の国立療養所邑久光明園で逝去。86歳だった。今回の原作「地面の底がぬけたんです」は彼女の感情的な随筆集。思想の科学社からの出版にあたっては、元交流の家管理人、飯川梨貴さんと編集者、那須正尚さんの尽力があった。
東京生まれ。複数の劇団に所属した後、自ら劇団を創り、女優・構成・演出家として活動。構成・演出家としては愚安亭遊佐のひとり芝居「人生勝負一発」で文化庁芸術祭優秀賞を受賞。現在は自ら女優としてひとり芝居の作品を各地で公演するとともに、演劇ワークショップを指導して全く新しいスタイルの舞台を作り、好評を得ている。「地面の底がぬけたんです」は自分のライフワークにしたいと張り切っている。
[2002年2月、笠眉彦(フレンズ国際労働キャンプ関東委員会)]