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ハンセン病療養所医療過誤訴訟

2004年7月12日、第5回口頭弁論

2003年4月に提訴されたハンセン病医療過誤訴訟の第5回口頭弁論が7月12日、東京地裁で開かれた。

原告は60歳代の女性。15歳でハンセン病と診断され、国立療養所星塚敬愛園(鹿児島県)や神山復生病院(静岡県)で治療し、32歳で社会復帰した。その後、1982年に再発の兆候が現れたため、国立療養所多磨全生園で受診した。

しかし、再発の兆候があるにもかかわらず、当時の主治医がハンセン病の原因である、らい菌を根元から断つ治療を行わなかったことから、顔面の表情筋の機能と体表の知覚がほとんどすべて失われるなど重度の障害を受け、不自由な日常生活を余儀なくされている。また、後遺症で変形した外観のため、じろじろ見られることは日常茶飯事であり、自分で鏡を見ることもためらってしまうという。

1992年には、病状が悪化する一方であることから、原告は当時の主治医への不信感を募らせ、同園の別の医師に主治医を交代してもらい、効果的な治療を受けることで失明の危機を免れている。同じ時期、原告と同じ担当医の治療を受けていた別の患者は、病気を苦に自殺している。

2001年5月のハンセン病国家賠償請求訴訟熊本地裁判決では、らい予防法に基づいて、ハンセン病患者、快復者を隔離し続けた国の政策が違法であると認められたが、この医療過誤訴訟では、隔離され孤立した療養所の中で、どのような医療が行われていたのかを明らかにすることを目的としている。

本裁判の争点は、当時の担当医の治療が適切なものであったかどうかにある。当時の治療において、抗ハンセン病薬を使わなかったことに過失があったかどうかが問われているのである。

この訴訟では、国に対して5千万円の損害賠償を求めているが、「金を目当てに訴訟を起こしている」と非難されることがあるという。「お金がほしいわけではありません。私のようなひどい後遺症を持つ人たちは、私を最後にしてほしいという強い願いがあるからです。それが、自殺した友への追悼です」と原告は訴える。

治る病気になったはずのハンセン病が、適切な治療を受けられなかったことから重い症状を発生させている実態を、裁判所はどのように判断するのだろうか。9月に結審し、判決は年内に言い渡される見通し。

次回の口頭弁論は、7月26日13時30分より、東京地裁で行われる。原告、被告側からそれぞれ証人が出廷し、当時の医療水準について陳述する。

[宮田武宏、2004年7月15日]

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