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中国におけるハンセン病制圧の対策と現状

展望

1. 指導と調整の強化

WHOは、ハンセン病制圧の最終責任は政府が受け持たなければならないとしており、WHOは徐々に身を引くという方針※18を採っている。このことから、中国衛生部は引き続きハンセン病制圧事業に対する指導を強化せねばならず、また、計画の制定に責任を負い、資源を動員し、協力機関の行動を調整し、予防治療対策を実施してその進展を監視測定しなければならない。また、流行地域の政府がハンセン病をなくすことに対する承諾と支持を強化するために、必要とされる労力、物資、財力の投入に決定的な意義がなければならない。

2. ハンセン病の制圧に対する正確な認識

ハンセン病の「基本的制圧」の定義は正確に認知されていない。「基本的制圧」とは、現段階でハンセン病の有病率と(あるいは)発病(発見)率をある比較的低いレベルに抑制することである。「基本的制圧」の目標に到達しても、依然として新規発病と再発の病例があり、らい菌が依然存在しており、ハンセン病の伝染が終息しておらず、その後も継続して予防治療事業を展開する必要がある。一方、「制圧」とは、微生物が完全に消失し、伝染が完全に終息し、有病率と発病(発見)率がゼロになり、継続して予防治療事業を展開する必要がない状態を指す。このため、「基本的制圧」はハンセン病予防治療の終点ではなく、ハンセン病の予防治療事業は、持続発展が可能な戦略を堅持しなければならないのである。現状では、予測可能な未来において、完全にハンセン病のない世界が出現すると考えるのは難しい。

3. 早期発見を早期治療の強化

1990年から1998年の中国における19,453例の新規発症病例の資料分析によると、確定診断までの平均延期期間は3年で、2級障害率は24%を占める※12。このことから、病例の早期発見に一定の問題が存在することが明らかになっている。今後、継続してハンセン病予防治療知識の宣伝を展開し、主導と受動をお互い結びつけて病例を発見するという方法を堅持し、異なる流行地域と予防治療段階の需要に基づいて、それぞれの土地柄に応じて適切な措置を採り、また、タイプ別に指導を行い、適正な予防治療対策を制定し、可能な限り早急に患者を発見、治療し、できるだけ早期に感染を食い止め、障害を減少させる。

4.ハンセン病予防治療事業を予防治療ネットワークの連携

現在、中国の大多数の地域において、ハンセン病の流行は既に下火の状態であるが、専門チームに100%頼って患者を発見、治療するのには困難がある。このため、今後は総合的な方法を採り、ハンセン病の予防治療事業と末端の予防治療ネットワークをリンクさせ、総合的に医療関係者を動員し、末端の医療関係者とボランティアが郷(鎮)および村のハンセン病予防治療事業に参加することで、新規患者の診断および施設への紹介を可能にする。また、医療関係者のハンセン病知識に関する訓練と地域社会での健康教育を強化し、国民のハンセン病に対する認識を高める。しかし、総じてハンセン病の発見率は低く、末端の医療関係者に必要な技術(診断、細菌検査、病理、リハビリテーション、反応の発見と処理等)および資源が不足しているため、持続的な発展は難しく、簡単にハンセン病予防治療の責任を100%末端組織に任せることは困難な状況である。

5. 障害の予防とリハビリ事業を積極的に展開

障害の予防知識を普及し、障害の発生と悪化を防止、減少させる。重点対象者は、現患者と中年、青年の治癒者で、リハビリテーションモデル事業の有効な経験を活かしていかなければならない。現在、全国には未だハンセン病による深刻な障害を持つ患者が12万人おり、その内、2万人は帰る家がなく病院にとどまっている。これらの患者の経済的状況はたいへん厳しく、リハビリテーション、社会復帰、生活保障等の面で、長期間にわたる社会と政府の支援を必要としている。

6. ハンセンの予防治療研究事業の重視

90年代初期に、2000年には全世界でハンセン病を「制圧」できると表明して以来、ハンセン病の制圧に対して人々は楽観的過ぎた。ハンセン病に関する科学研究への投下は急速に減少し、科学研究事業は明らかに縮小した。現状から見て、ハンセン病のように長い歴史を持ち、人類の健康を脅かす慢性病をなくすには、科学の進歩に頼らなければならない。2000年6月、パリで開催された「新世紀におけるハンセン病の研究討論会」では、下記の主要な研究内容が提起された。化学的予防研究、新しいMDT方案の研究、リファンピシンの薬剤耐性を高速検査する方法の更なる実証と応用、MDT後の再発率、ハンセン病の早期診断、神経損傷と反応メカニズムの研究、らい反応と神経機能の損傷に関する治療研究、らい菌に対する免疫と杆菌の基礎研究、フィールド研究の実施等。我々は予防治療事業に関して、重点プロジェジェクトを列挙し、全国あるいは省(市、区)におけるハンセン病制圧を推進させる応用的研究を展開せねばならない。条件を有する事業所もまた、それぞれに応じたハンセン病の基礎研究を展開することが可能だ。

ハンセン病は、特殊な疾病で、医療問題や社会問題を有するため、政府はさらに継続して積極的に制圧目標を保持しなければならない。また、全国およびハンセン病流行地区には予防治療に関する豊富な経験と業務能力と持つ予防機関を設立し、優れた教育を受け、先見性のある指導者を配置せねばならない。ハンセン病の予防治療事業は、末端の予防治療ネットワークと連携し、継続してハンセン病予防治療の専門チームとスタッフの役割を発揮していかなければならない。長い目でみれば、社会経済の発展、BCG接種、早期診断、MDT等、様々な手段により、ハンセン病を根絶することは可能である。ただし、それは非常に緩やかなプロセスとなるであろう。

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[著者:李文忠(中国医学院皮膚病研究所)、原典:日中医学(財団法人日中医学協会、2005年5月発行)、2008年12月30日]

※この記事は、日中医学協会の許諾を得て転載したものです。
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