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中国のハンセン病の状況

中国でのハンセン病の状況を、HANDAのDr. YangとDr. Michelに聞いた。

1994年にブラジルにてIDEAが発足し、1996年には中国のIDEA「HANDA」が誕生した。現在、IDEAのネットワークは14カ国に広がっている。Dr. Yangは40年以上もハンセン病治療に関わってきた経験を持ち、HANDAの設立者でもある。Dr. MichelはHANDAの有力な医師として各地に足を運び、対外的にも活躍している。

中国ではそれまでは野放しの状態であったハンセン病患者に対し、1960年頃から患者を収容する政策をとった。町から離れた場所に作った病院や村に患者を収容し、早期治療のために隔離を進めた。誰にも見られないように家の中に隠されたり、兄弟の結婚にまで影響が及ぶなど、日本と同じような差別、偏見があった。間違った教育や社会の偏見により隔離政策が続いたという点は否めないが、隔離政策によりハンセン病患者が少なくなったと、隔離を好意的に受け止められている部分もある。

この政策は、MDT(Multidrug therapy)多剤併用療法が開発された1982年には終焉を迎え、在宅治療が可能となった。また、1980年代頃から都市部を中心に貧困が緩和されてきている。ハンセン病患者に対する差別や偏見は、新聞、ラジオ、テレビなどを通した啓蒙活動により、緩和されつつある。ただ、差別といった社会問題は、都市部と地方とでは情報の格差により、違いが大きい。

中国の31省56民族すべてにハンセン病患者が存在している。その中でも特に東南部に多い。1950年〜2000年の累計では、広東省94,000人、Jiangsu 50,000人、山東省50,000人、Yunnan50,000人、Sichuan 30,000人となっている。温暖な気候や医療の遅れなど、その理由は無数に挙げられる。

1950〜2001年の51年間に中国全土で500,000人の患者が見つかった。2002年現在、菌が陽性の患者は6325人となっている。二人の医師は快復者のうちおよそ70〜80%が社会復帰をしているだろうと話す。社会復帰するためには、それを受け入れるコミュニティが必要だが、快復者の家族がいる場合でも家族が嫌がることがあり、社会復帰が困難な状況が多い。中国に限らず、世界共通の問題といえる。

今後の課題としては、初期治療と後遺症のリハビリが挙げられる。
HANDAは4つのリハビリテーションのポリシーを持っている。
1. 身体的リハビリテーション
2. 経済的リハビリテーション
3. 社会的リハビリテーション
4. 心理的リハビリテーション

これらを実行するのが重要な課題である。また、最終目標は患者・快復者の社会復帰であり、コミュニティの一員となることを目指している。スティグマをなくすこと、そのためにはこれらのリハビリテーションが必要である。

[茂木亮 2002年9月15日]

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